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リモートワーク導入完全ガイド|制度設計からツール選定、運用ルールまで

リモートワーク導入完全ガイド|制度設計からツール選定、運用ルールまで

リモートワーク導入のメリットと課題

リモートワーク(テレワーク)は、コロナ禍を経て多くの企業で定着しました。しかし、単に「在宅勤務を許可する」だけでは成功しません。適切な制度設計と運用ルールが必要です。

リモートワークのメリット

企業側のメリット

メリット詳細
人材確保地理的制約なく優秀な人材を採用可能
コスト削減オフィススペース・通勤手当の削減
事業継続災害時・感染症流行時も業務継続可能
生産性向上集中できる環境で効率アップ
離職防止ワークライフバランス向上で定着率改善

従業員側のメリット

メリット詳細
通勤時間の削減往復2時間→0時間で自由時間増加
柔軟な働き方育児・介護との両立がしやすい
集中できる環境割り込みが少なく生産性向上
居住地の自由地方移住・Uターンが可能

リモートワークの課題

課題対策の方向性
コミュニケーション不足ツール導入、定例ミーティング
勤怠管理の難しさ勤怠システム、成果評価
セキュリティリスクVPN、端末管理、ルール整備
孤独感・メンタルヘルス1on1、雑談の場の設置
評価の公平性評価基準の明確化

リモートワーク導入の5ステップ

ステップ1:対象業務・対象者の決定

すべての業務・従業員がリモートワーク可能とは限りません。まず対象を明確にします。

リモートワーク可能な業務

  • 事務作業(経理、人事、総務)
  • 企画・マーケティング
  • システム開発・デザイン
  • 営業(商談はオンライン)
  • カスタマーサポート

リモートワークが難しい業務

  • 製造・生産ライン
  • 接客・店舗業務
  • 物流・配送
  • 対面での顧客対応

対象者の基準例

  • 入社1年以上の正社員
  • 自己管理能力があると認められる者
  • 自宅に作業環境を確保できる者

ステップ2:制度設計・就業規則の整備

リモートワークを制度化するには、就業規則の改定が必要です。

就業規則に定めるべき事項

1. リモートワークの定義
   └ 在宅勤務、サテライトオフィス、モバイルワーク等

2. 対象者
   └ 資格要件、申請・承認の手続き

3. 勤務場所
   └ 自宅、届出制の場所等

4. 勤務時間・休憩
   └ 通常勤務と同じ or フレックス

5. 給与・手当
   └ 通勤手当、在宅勤務手当

6. 費用負担
   └ 通信費、光熱費、備品

7. 情報セキュリティ
   └ 遵守事項、禁止事項

8. 健康管理
   └ 労働時間の把握、健康確保措置

リモートワーク手当の設計

手当の種類金額の目安内容
在宅勤務手当(月額)3,000〜5,000円通信費・光熱費の補助
環境整備一時金10,000〜50,000円デスク・椅子の購入補助
通勤手当実費精算に変更出社日のみ支給

ステップ3:ツール・環境の整備

リモートワークに必要なツールを整備します。

必須ツール

1. コミュニケーションツール

ツール特徴月額費用
Slackチャット中心、連携豊富無料〜925円/人
Microsoft TeamsMicrosoft 365連携Microsoft 365に含む
Chatwork国産、使いやすい無料〜600円/人

2. Web会議ツール

ツール特徴月額費用
Zoom安定性、機能充実無料〜2,200円/人
Google MeetGoogleアカウントで利用可Google Workspaceに含む
Microsoft Teams会議機能も充実Microsoft 365に含む

3. プロジェクト管理ツール

ツール特徴月額費用
Notion多機能、カスタマイズ性高い無料〜1,650円/人
Asanaタスク管理に強い無料〜1,475円/人
Backlog国産、シンプル2,970円〜/チーム

4. 勤怠管理ツール

ツール特徴月額費用
ジョブカン勤怠管理多機能、GPS打刻200円〜/人
KING OF TIME打刻方法豊富300円/人
freee人事労務給与計算と連携400円〜/人

5. クラウドストレージ

ツール特徴月額費用
Google DriveGoogleと連携無料〜
Dropboxシンプル、使いやすい1,500円〜/人
Boxセキュリティ重視1,800円〜/人

従業員の環境整備チェックリスト

□ 安定したインターネット回線(有線推奨)
□ 静かな作業スペース
□ デスク・椅子
□ PC(会社支給 or 個人所有の承認)
□ Webカメラ・マイク
□ 電源・照明

ステップ4:セキュリティ対策

リモートワークではセキュリティリスクが高まります。適切な対策が必要です。

技術的な対策

対策内容
VPN社内ネットワークへの安全な接続
MDMモバイルデバイス管理(紛失時の遠隔消去)
多要素認証パスワード+SMS等の2段階認証
エンドポイントセキュリティウイルス対策、EDR
クラウドセキュリティアクセス権限管理

ルール・運用面の対策

セキュリティルール(例)

【禁止事項】
□ 公衆Wi-Fiでの業務禁止
□ 私用PCでの業務禁止(BYOD非許可の場合)
□ 業務データのUSBへのコピー禁止
□ 画面共有時の機密情報表示禁止
□ カフェ等での業務中の離席禁止

【遵守事項】
□ OSおよびソフトウェアの最新化
□ パスワードの定期変更
□ 画面ロックの徹底
□ 業務終了時のログアウト
□ 不審なメール・URLへの注意

情報漏洩への対応

情報漏洩発生時のフロー

1. 上長・情報セキュリティ担当者に即時報告
2. 被害の拡大防止(端末のネットワーク切断等)
3. 事実関係の調査
4. 必要に応じて関係者への通知・報告
5. 再発防止策の策定・実施

ステップ5:運用ルールの策定

リモートワークをスムーズに運用するためのルールを策定します。

勤怠ルール

勤務時間:9:00〜18:00(休憩1時間)
※フレックスタイム制の場合はコアタイムを設定

勤怠報告:
・始業時:Slackの#勤怠チャンネルに「おはようございます」
・終業時:同チャンネルに「お疲れ様でした」+本日の業務報告
・中抜け:事前に上長へ連絡、勤怠システムに記録

残業:
・事前申請制
・22時以降の勤務は原則禁止

コミュニケーションルール

1. チャットの基本ルール
   ・返信は原則2時間以内
   ・緊急の場合は電話またはメンション
   ・リアクションで既読を示す
   ・長文は避け、要点を簡潔に

2. ミーティングルール
   ・カメラは原則ON
   ・開始5分前に入室
   ・議事録を残す
   ・必要最小限の参加者

3. 定例ミーティング
   ・朝会(毎日9:30、15分):各自の予定共有
   ・週次チームMTG(毎週月曜10:00、1時間)
   ・1on1(隔週、30分)

タスク管理ルール

1. タスクの見える化
   ・すべてのタスクはプロジェクト管理ツールに登録
   ・期限と担当者を明確に
   ・ステータスを最新に保つ

2. 報連相
   ・進捗は毎日報告(日報またはスタンドアップ)
   ・問題発生時は即座に共有
   ・判断に迷ったら相談

3. 成果の報告
   ・週次で成果をまとめて報告
   ・数値化できるものは数値で

リモートワークの評価制度

リモートワークでは「プロセス」が見えにくくなるため、「成果」による評価が重要になります。

評価の考え方

評価方式説明適する業務
成果評価アウトプットで評価営業、開発、クリエイティブ
目標管理(MBO)目標達成度で評価全般
OKR挑戦的な目標設定スタートアップ、成長企業

評価項目の例

1. 業務成果(60%)
   ・目標達成度
   ・成果物の品質
   ・数値目標の達成

2. プロセス・行動(30%)
   ・コミュニケーション頻度・質
   ・自己管理能力
   ・チームへの貢献

3. 成長・スキル(10%)
   ・新しいスキルの習得
   ・業務改善の提案

1on1ミーティングの重要性

リモートワークでは、1on1ミーティングが特に重要になります。

1on1の目的

  • 業務の進捗確認
  • 困っていることの把握
  • キャリアの相談
  • メンタルヘルスのチェック

頻度: 週1回または隔週(30分〜1時間)

話すべき内容

  • 今週うまくいったこと
  • 困っていること、障害
  • 来週の優先事項
  • 中長期のキャリア・目標
  • その他の相談事項

リモートワークの健康管理

長時間労働の防止

リモートワークでは仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。

対策

  • 勤怠システムによる労働時間の把握
  • 一定時間後のPCシャットダウン
  • 上長による労働時間のモニタリング
  • 深夜・休日のメール送信自粛

メンタルヘルス対策

孤独感への対策

  • 雑談チャンネルの設置(#random、#雑談)
  • バーチャルコーヒーブレイク(週1回、15分)
  • オンライン飲み会・イベント
  • 定期的な出社日の設定

ストレスチェック

  • 定期的なアンケート実施
  • 産業医・カウンセラーへの相談窓口
  • ストレスサインの早期発見

身体的な健康対策

リモートワーク中の健康維持チェックリスト

□ 1時間に1回は立ち上がる
□ ストレッチを行う
□ デスク・椅子の高さを適切に
□ 照明は十分な明るさ
□ 画面との距離は40cm以上
□ 定期的に外出・運動

ハイブリッドワークという選択肢

完全リモートではなく、オフィス出社とリモートを組み合わせる「ハイブリッドワーク」を採用する企業も増えています。

ハイブリッドワークのパターン

パターンメリット
曜日固定火・木は出社予定が立てやすい
週N日出社週2日出社(曜日自由)柔軟性が高い
業務内容で決定会議・協働は出社効率的
部署ごとに設定開発は完全リモート可業務特性に合う

ハイブリッドワークのルール例

週2日出社制の場合

・最低週2日は出社(曜日は自由)
・チームミーティングのある曜日は原則出社
・顧客訪問日は出社扱い
・出社予定はカレンダーに入力
・急な予定変更はSlackで共有

リモートワーク導入の成功事例

事例1:IT企業(従業員50名)

導入方針: 完全リモートワーク(フルリモート)

取り組み

  • 全員にリモートワーク手当(月5,000円)
  • 入社時に環境整備費(5万円)支給
  • 月1回の全社出社日(交流目的)
  • Notionで情報を完全オープン化
  • 毎日の朝会(15分)で進捗共有

成果

  • 離職率:15%→5%に低下
  • 採用:地方在住者も採用可能に
  • オフィス縮小でコスト30%削減

事例2:製造業(従業員200名)

導入方針: ハイブリッドワーク(間接部門のみ)

取り組み

  • 間接部門(経理、人事、営業)は週2日出社
  • 工場・現場は従来通り
  • 勤怠はジョブカンで管理
  • TeamsとSharePointで情報共有
  • 月次でリモートワーク状況をレビュー

成果

  • 間接部門の生産性10%向上
  • 通勤手当30%削減
  • 従業員満足度向上

事例3:サービス業(従業員30名)

導入方針: 選択制リモートワーク

取り組み

  • 希望者は週3日までリモート可
  • 出社・リモートは前日までに申告
  • 顧客対応は出社日に集中
  • Slackの#勤怠チャンネルで状況共有
  • 月1回の振り返りミーティング

成果

  • 育児中の社員の離職防止
  • 採用競争力の向上
  • オフィスのフリーアドレス化でスペース効率向上

まとめ:リモートワーク導入成功のポイント

  1. 制度を整える: 就業規則の改定、ルールの明文化
  2. ツールを揃える: コミュニケーション、勤怠、セキュリティ
  3. セキュリティを確保する: VPN、MDM、ルールの徹底
  4. コミュニケーションを設計する: 定例MTG、1on1、雑談の場
  5. 評価を見直す: 成果ベース、目標管理の導入
  6. 健康管理を怠らない: 労働時間把握、メンタルヘルス対策
  7. 継続的に改善する: 定期的なフィードバック、ルールの見直し

リモートワークは「許可すれば終わり」ではなく、継続的な運用改善が必要です。従業員の声を聞きながら、自社に合った最適な形を模索していきましょう。


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