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ペーパーレス化の進め方|導入手順とおすすめツール、成功のポイント

ペーパーレス化の進め方|導入手順とおすすめツール、成功のポイント

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、これまで紙で行っていた業務を電子化し、紙の使用を削減または廃止することです。単なる紙の削減だけでなく、業務プロセス全体のデジタル化を通じて、効率化・コスト削減・働き方改革を実現します。

ペーパーレス化のメリット

メリット詳細
コスト削減紙代、印刷代、郵送費、保管スペース費用の削減
業務効率化検索性向上、情報共有の迅速化、承認フローの短縮
リモートワーク対応場所を選ばず書類にアクセス可能
セキュリティ向上アクセス権限管理、紛失リスクの低減
環境負荷軽減CO2排出量の削減、SDGs対応
BCP対策災害時のデータ保全、事業継続性の確保

ペーパーレス化の現状

2022年の電子帳簿保存法改正により、電子取引データの電子保存が義務化されました(2024年1月完全義務化)。これを機に、多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいます。

しかし、中小企業の多くはまだ紙ベースの業務が残っているのが実情です。

企業が抱える紙の課題

  • 契約書・請求書の紙での保管
  • 稟議書・申請書の紙での回覧
  • 会議資料の印刷・配布
  • 経費精算の紙の領収書添付
  • タイムカードによる勤怠管理

電子帳簿保存法への対応

ペーパーレス化を進める上で、電子帳簿保存法への対応は避けて通れません。

電子帳簿保存法の3つの区分

区分内容対象書類例
電子帳簿等保存会計ソフトで作成した帳簿・書類の電子保存仕訳帳、総勘定元帳、決算書類
スキャナ保存紙で受領した書類をスキャンして保存領収書、請求書、契約書
電子取引電子的に授受した取引情報の保存メール添付の請求書、EDI、クラウドサービス

電子取引データ保存の要件

電子取引データは以下の要件を満たして保存する必要があります。

真実性の要件(改ざん防止) 以下のいずれかを満たすこと:

  • タイムスタンプ付与
  • 訂正・削除の履歴が残るシステムを使用
  • 訂正・削除ができないシステムを使用
  • 訂正・削除の防止に関する事務処理規程の整備

可視性の要件

  • モニター、プリンターで速やかに出力可能
  • 取引年月日、取引金額、取引先で検索可能
  • 日付・金額の範囲指定、2項目以上の組み合わせ検索が可能

対応のポイント

  1. 現状把握: どんな電子取引があるか洗い出し
  2. 保存方法の決定: フォルダ管理 or 専用システム
  3. 検索要件への対応: ファイル名ルール化 or システム導入
  4. 社内規程の整備: 事務処理規程の作成

ペーパーレス化の進め方5ステップ

ステップ1:現状の把握と目標設定

まず、自社で使われている紙の書類を洗い出し、ペーパーレス化の目標を設定します。

紙の書類の棚卸し

部門書類例年間枚数(目安)
経理請求書、領収書、経費精算書数千枚
人事勤怠表、給与明細、入社書類数百〜数千枚
営業見積書、契約書、報告書数千枚
総務稟議書、申請書、通知文書数百枚

目標設定の例

  • 1年後:紙の使用量50%削減
  • 経理部門:請求書の電子化率80%
  • 全社:会議資料のペーパーレス化100%

ステップ2:優先順位の決定

すべてを一度にペーパーレス化するのは現実的ではありません。効果とハードルを考慮して優先順位を決めます。

優先度判断のマトリクス

        効果 大
           │
  【優先度1】│【優先度2】
   経費精算  │ 契約書
   会議資料  │ 人事書類
           │
───────────┼───────────
           │
  【優先度3】│【優先度4】
   社内通知  │ 特殊書類
   日報     │
           │
        効果 小
    ハードル低 ←→ ハードル高

取り組みやすい領域から始める

取り組みやすい(おすすめ)

  • 会議資料のデジタル化
  • 経費精算の電子化
  • 勤怠管理のクラウド化
  • 社内申請のワークフロー化

ハードルが高い(後回しでもOK)

  • 契約書の電子化(電子契約)
  • 紙で受領する請求書のスキャナ保存
  • 長期保存が必要な書類

ステップ3:ツール・システムの選定

ペーパーレス化の目的に応じて、適切なツールを選定します。

目的別おすすめツール

請求書・経費精算

ツール名特徴価格帯
楽楽精算経費精算特化、電子帳簿保存法対応月額3万円〜
マネーフォワード クラウド経費会計連携、スマホで領収書撮影月額500円〜/人
Bill One請求書受領のデジタル化要問い合わせ

契約書

ツール名特徴価格帯
クラウドサイン国内シェアNo.1の電子契約月額1万円〜
DocuSignグローバル対応、多機能月額2,500円〜/人
GMOサイン低コスト、印鑑文化対応月額8,800円〜

ワークフロー(稟議・申請)

ツール名特徴価格帯
ジョブカンワークフローシンプル、勤怠連携月額300円/人
kintoneノーコードでカスタマイズ月額780円〜/人
SmartDB大企業向け、複雑なワークフロー要問い合わせ

文書管理・ファイル共有

ツール名特徴価格帯
Google DriveGoogleワークスペースと連携無料〜月額1,360円/人
Dropbox Businessシンプル、電子署名連携月額1,500円〜/人
Boxセキュリティ重視、大企業向け月額1,800円〜/人

会議資料

ツール名特徴価格帯
Google Slides/Docsリアルタイム共同編集無料〜
Notionドキュメント+データベース無料〜月額$8/人
miroホワイトボード、ブレスト向け無料〜月額$8/人

ステップ4:パイロット導入と検証

いきなり全社展開せず、特定の部署やプロジェクトでパイロット導入を行います。

パイロット導入のポイント

  1. 協力的な部署を選ぶ: ITリテラシーが高く、前向きな部署
  2. 期間を決める: 1〜3ヶ月程度
  3. 成功基準を設定: 削減時間、利用率など
  4. フィードバックを収集: 使い勝手、課題、改善点
  5. マニュアル・ルールを整備: 全社展開に向けて

ステップ5:全社展開と定着化

パイロットの結果を踏まえ、全社に展開します。

全社展開のステップ

  1. 経営層からのメッセージ: なぜペーパーレス化が必要か発信
  2. 説明会・研修の実施: ツールの使い方、ルールの周知
  3. 段階的なロールアウト: 部署ごと、書類ごとに段階的に
  4. サポート体制の整備: 問い合わせ窓口、FAQ
  5. 効果の可視化: 削減効果を共有し、モチベーション維持

部門別ペーパーレス化のポイント

経理部門

ペーパーレス化の対象

  • 請求書(発行・受領)
  • 領収書
  • 経費精算書
  • 振込依頼書
  • 帳簿・決算書類

ポイント

  • 電子帳簿保存法の要件を満たすシステムを選定
  • 取引先への電子請求書移行を依頼
  • 紙で届く請求書はスキャナ保存を検討
  • 会計ソフトとの連携を重視

人事・総務部門

ペーパーレス化の対象

  • 勤怠表・タイムカード
  • 給与明細
  • 入退社書類
  • 年末調整
  • 稟議書・申請書

ポイント

  • 従業員のITリテラシーに配慮した使いやすいツール
  • 個人情報を含むためセキュリティ対策を万全に
  • 紙の保管義務がある書類は要確認

営業部門

ペーパーレス化の対象

  • 見積書
  • 契約書
  • 営業報告書
  • 顧客資料

ポイント

  • 電子契約の導入で契約締結スピードを向上
  • 外出先からアクセスできるクラウド環境
  • 取引先の電子契約対応状況を確認

ペーパーレス化の成功事例

事例1:製造業A社(従業員50名)

課題

  • 月間2,000枚以上の紙を使用
  • 経費精算に月10時間かかっていた
  • 請求書の保管スペースがひっ迫

取り組み

  • 経費精算システム(マネーフォワード)導入
  • 請求書の電子化(Bill One)
  • 会議資料のペーパーレス化(Google Workspace)

成果

  • 紙の使用量70%削減
  • 経費精算の工数80%削減(月10時間→2時間)
  • 保管スペースの50%を他の用途に転用

事例2:サービス業B社(従業員20名)

課題

  • 契約書の郵送に1週間かかる
  • 稟議の回覧に3日かかる
  • テレワーク時に書類にアクセスできない

取り組み

  • 電子契約(クラウドサイン)導入
  • ワークフローシステム(ジョブカン)導入
  • ファイル共有(Google Drive)導入

成果

  • 契約締結が1週間→即日に
  • 稟議承認が3日→半日に
  • テレワーク時も通常通り業務可能

ペーパーレス化でよくある課題と対策

課題1:社内の抵抗

「紙のほうが見やすい」「慣れたやり方を変えたくない」という抵抗があります。

対策

  • 経営層からの明確なメッセージ発信
  • 小さな成功体験を積み重ねる
  • 抵抗勢力を推進役に巻き込む
  • 丁寧な説明と研修

課題2:取引先が紙を使用

自社がペーパーレス化しても、取引先から紙の請求書が届くケースがあります。

対策

  • 電子化への移行を依頼する
  • スキャナ保存で対応(電子帳簿保存法の要件を満たす)
  • 受領代行サービスを活用(Bill One等)

課題3:法的な保存義務

一部の書類は紙での保存が法律で義務付けられている場合があります。

対策

  • 書類ごとの保存要件を確認
  • 専門家(税理士、弁護士)に相談
  • 法改正の動向をウォッチ

課題4:セキュリティの懸念

電子化により情報漏洩のリスクが心配されます。

対策

  • アクセス権限の適切な設定
  • パスワード管理の徹底
  • 二要素認証の導入
  • セキュリティ認証を取得したサービスを選定

ペーパーレス化の効果測定

導入効果を数値で把握し、継続的な改善につなげます。

測定すべき指標

指標測定方法目標例
紙の使用量購入枚数、コピー機カウンター50%削減
印刷コスト複合機のリース料、トナー代30%削減
保管スペースキャビネット数、面積50%削減
業務時間作業時間の計測月20時間削減
処理スピード承認・契約にかかる日数50%短縮

まとめ:ペーパーレス化成功のポイント

  1. 目的を明確に: コスト削減、効率化、法対応など
  2. 優先順位をつけて段階的に: 取り組みやすい領域から
  3. 適切なツールを選定: 自社の規模・課題に合ったもの
  4. パイロット導入で検証: いきなり全社展開しない
  5. 定着支援を怠らない: 研修、マニュアル、サポート体制
  6. 効果を可視化: 数値で示し、継続的に改善

ペーパーレス化は一朝一夕には完成しません。しかし、小さな一歩から始めて着実に進めれば、確実に効果を実感できます。まずは身近な領域から、ペーパーレス化に取り組んでみましょう。


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