「事業再構築補助金って聞いたことあるけど、うちの会社でも使える?」「申請要件が複雑でよくわからない」「採択されるにはどうすればいい?」
事業再構築補助金は、中小企業の思い切った事業再構築を支援する大型補助金です。最大1億円以上の補助を受けられる可能性があり、新事業への挑戦を考えている企業にとって大きなチャンスとなります。
本記事では、事業再構築補助金の基本から申請のコツまで、詳しく解説します。
事業再構築補助金とは
制度の概要
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業等が、新分野展開や業態転換、事業転換などの思い切った事業再構築に取り組む際の費用を支援する補助金です。
制度の特徴:
- 補助上限額が高い(最大1億円以上)
- 幅広い経費が対象
- 新事業への挑戦を後押し
- 認定支援機関との連携が必要
補助対象者
対象となる事業者:
- 中小企業
- 中堅企業
- 個人事業主
- 企業組合、協業組合など
中小企業の定義:
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
※資本金または従業員数のいずれかを満たせばOK
申請要件
基本要件:
-
売上高減少要件
- コロナ以前(2019年または2020年1〜3月)と比較
- 売上高が10%以上減少していること
- 付加価値額が15%以上減少でも可
-
事業再構築要件
- 新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換、事業再編のいずれかに該当
-
認定支援機関要件
- 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定
-
付加価値額要件
- 補助事業終了後3〜5年で付加価値額を年率平均3〜5%以上増加
事業再構築の5類型
1. 新分野展開
主たる業種・事業を変更せず、新たな製品・サービスを提供する取り組み。
要件:
- 新たな製品等の売上高が総売上高の10%以上
- 過去に製造等した実績がない
- 主要な設備を変更する
例:
- 居酒屋がテイクアウト・デリバリー事業を開始
- 製造業が新製品ラインを追加
2. 業態転換
製品・サービスの製造方法・提供方法を変更する取り組み。
要件:
- 製造方法等の変更で売上高10%以上
- 過去に同じ方法で製造等した実績がない
- 主要な設備を変更する
例:
- 対面販売からECサイトへの転換
- 店舗型サービスからオンラインサービスへ
3. 事業転換
主たる事業を変更する取り組み。
要件:
- 新たな事業の売上高が最も高くなる
- 過去に同じ事業を行った実績がない
- 主要な設備を変更する
例:
- 飲食業から食品製造業へ
- 小売業からサービス業へ
4. 業種転換
主たる業種を変更する取り組み。
要件:
- 新たな業種の売上高が最も高くなる
- 過去に同じ業種で事業を行った実績がない
- 主要な設備を変更する
例:
- 製造業から小売業へ
- サービス業から製造業へ
5. 事業再編
会社法上の組織再編(合併、分割等)を通じた事業再構築。
要件:
- 合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡
- 他の類型のいずれかを満たす
申請枠と補助額
主な申請枠
| 申請枠 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 成長枠 | 最大7,000万円 | 1/2〜2/3 |
| グリーン成長枠 | 最大1.5億円 | 1/2〜2/3 |
| 産業構造転換枠 | 最大7,000万円 | 2/3 |
| 最低賃金枠 | 最大1,500万円 | 3/4 |
| 物価高騰対策・回復再生応援枠 | 最大3,000万円 | 2/3〜3/4 |
補助対象経費
主な対象経費:
- 建物費(建物の建築・改修費用)
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費(知的財産権の導入)
- 専門家経費(コンサルティング費用)
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
対象外の経費:
- 人件費
- 土地の取得費
- 汎用性の高い備品(パソコン、車両等)
- 補助対象外の経費を含む一括契約
申請の流れ
Step 1: 事前準備
準備すべき書類:
- 直近2期分の決算書
- 売上高減少を証明する書類
- 法人の場合:履歴事項全部証明書
- 個人事業主:確定申告書
Step 2: GビズIDの取得
電子申請に必要なGビズIDプライムを取得します。
取得方法:
- GビズID公式サイトにアクセス
- 必要書類をアップロード
- 審査後、IDが発行(2〜3週間)
注意: 申請締切に間に合うよう早めに取得
Step 3: 認定支援機関の選定
事業計画の策定を支援してもらう認定支援機関を選びます。
認定支援機関の種類:
- 税理士・公認会計士
- 中小企業診断士
- 商工会・商工会議所
- 金融機関
- コンサルティング会社
選び方のポイント:
- 補助金申請の実績
- 自社の業種・規模に合った専門性
- コミュニケーションの取りやすさ
- 費用(成功報酬型が多い)
Step 4: 事業計画書の作成
採択の鍵となる事業計画書を作成します。
記載すべき内容:
- 補助事業の具体的取組内容
- 将来の展望
- 本事業で取得する主な資産
- 収益計画
Step 5: 電子申請
jGrantsシステムから申請します。
申請時の添付書類:
- 事業計画書
- 認定支援機関確認書
- 決算書
- 売上高減少の証明書類
- その他申請枠に応じた書類
Step 6: 審査・採択
書面審査を経て、採択が決定されます。
審査のポイント:
- 事業再構築の必要性
- 事業計画の妥当性
- 実現可能性
- 効果の見込み
Step 7: 交付申請・事業実施
採択後、交付申請を行い、承認を受けてから事業を実施します。
注意点:
- 交付決定前の発注・契約は補助対象外
- 経理書類を適切に保管
- 計画変更は事前に承認を受ける
Step 8: 実績報告・補助金受領
事業完了後、実績報告書を提出し、補助金を受領します。
採択されるためのポイント
1. 事業再構築の必要性を明確に
ポイント:
- 既存事業の課題を具体的に記載
- なぜ事業再構築が必要なのかを説明
- 市場環境の変化を示すデータを活用
2. 事業計画の具体性
記載すべき内容:
- 具体的な製品・サービスの内容
- ターゲット顧客の明確化
- 競合との差別化ポイント
- 詳細なスケジュール
3. 実現可能性の証明
アピールポイント:
- 自社の強み・リソース
- 過去の実績・ノウハウ
- 人員体制
- 資金計画
4. 収益性・成長性
重要な指標:
- 売上高の見込み(根拠を明示)
- 付加価値額の増加計画
- 投資回収の見通し
5. SWOT分析の活用
| 良い影響 | 悪い影響 | |
|---|---|---|
| 内部環境 | 強み(Strength) | 弱み(Weakness) |
| 外部環境 | 機会(Opportunity) | 脅威(Threat) |
よくある質問
Q. 一度不採択でも再申請できますか?
A. はい、再申請可能です。不採択理由を分析し、事業計画を改善して次回公募に申請できます。
Q. 補助金はいつ受け取れますか?
A. 事業完了後、実績報告の審査を経てからとなります。採択から受領まで1年以上かかることも珍しくありません。そのため、つなぎ融資の検討が必要な場合もあります。
Q. 認定支援機関への費用はどれくらいですか?
A. 成功報酬型で補助金額の5〜15%程度が相場です。着手金が必要な場合もあります。費用対効果を考慮して選定しましょう。
Q. 他の補助金と併用できますか?
A. 同一の経費に対して複数の補助金を受けることはできません。ただし、異なる経費であれば、他の補助金との併用が可能な場合があります。
まとめ
事業再構築補助金は、新事業への挑戦を強力に後押しする制度です。
申請のポイント:
-
早めの準備
- GビズIDの取得(2〜3週間必要)
- 認定支援機関の選定
- 必要書類の収集
-
要件の確認
- 売上高減少要件を満たすか
- どの類型に該当するか
- どの申請枠が最適か
-
事業計画書の質
- 事業再構築の必要性
- 具体的な取り組み内容
- 実現可能性と収益性
-
専門家の活用
- 認定支援機関との連携
- 事業計画のブラッシュアップ
- 申請書類の精査
制度を正しく理解し、しっかりと準備することで、採択の可能性は大きく高まります。
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