「電子契約を導入したいけど、どのサービスを選べばいい?」「紙の契約書と法的効力は同じ?」「導入コストや手間はどれくらい?」
電子契約は、契約書の作成・締結・管理をデジタル化するサービスです。コスト削減、業務効率化、テレワーク対応など、多くのメリットがあり、導入企業が急増しています。
本記事では、電子契約の基本から主要サービスの比較、導入方法まで詳しく解説します。
電子契約とは
定義と仕組み
電子契約とは、紙の契約書に代わり、電子データで契約を締結する方法です。
基本的な流れ:
- 契約書をPDFで作成・アップロード
- 相手方にメールで送信
- 相手方が電子署名で合意
- 双方に締結済み契約書が保管
電子署名の種類:
- 当事者型:契約当事者が電子証明書で署名
- 立会人型(事業者型):サービス事業者が署名を代行
紙の契約との違い
| 項目 | 電子契約 | 紙の契約 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 不要 | 必要 |
| 郵送費 | 不要 | 必要 |
| 締結までの時間 | 数分〜数時間 | 数日〜数週間 |
| 保管スペース | 不要 | 必要 |
| 検索性 | 高い | 低い |
| 改ざん防止 | 技術的に担保 | 物理的管理 |
法的有効性
電子契約は法的に有効です。
関連する法律:
- 電子署名法(2001年施行)
- 電子帳簿保存法(2024年改正で電子取引の保存義務化)
- 民法(契約の成立に書面不要)
電子署名法第3条: 電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
電子契約のメリット
コスト削減
削減できるコスト:
- 印紙税(契約金額に応じて数百円〜数十万円)
- 郵送費(往復で500〜1,000円程度)
- 印刷費
- 保管コスト(倉庫費用など)
試算例: 月100件の契約の場合
- 印紙税:平均1,000円 × 100件 = 10万円
- 郵送費:500円 × 100件 = 5万円
- 合計:月15万円、年間180万円の削減
業務効率化
効率化のポイント:
- 締結までの時間短縮(数週間→数時間)
- 契約書の検索が簡単
- 承認フローの自動化
- ステータス管理の可視化
テレワーク対応
メリット:
- オフィスに出社せず締結可能
- どこからでもアクセス
- 押印のためだけの出社が不要
コンプライアンス強化
管理面のメリット:
- 改ざん防止
- アクセスログの記録
- 期限管理の自動化
- 電子帳簿保存法への対応
主要サービス比較
クラウドサイン
概要: 弁護士ドットコム株式会社が提供する国内シェアNo.1の電子契約サービス。
特徴:
- 導入社数130万社以上
- 弁護士監修で法的安心感
- シンプルな操作性
- API連携が充実
料金:
| プラン | 月額 | 送信件数 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 毎月5件まで |
| ライト | 11,000円 | 無制限 |
| コーポレート | 30,800円 | 無制限 |
向いている企業:
- 初めて電子契約を導入する企業
- 法的安心感を重視する企業
- 様々なシステムと連携したい企業
freeeサイン
概要: freee株式会社が提供する電子契約サービス。freee会計との連携が強み。
特徴:
- freee会計とシームレス連携
- テンプレート機能が充実
- ワークフロー機能
- バックオフィス業務の一元化
料金:
| プラン | 月額 | 送信件数 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 毎月1件まで |
| スターター | 5,478円 | 毎月10件まで |
| スタンダード | 21,780円 | 無制限 |
向いている企業:
- freee会計を利用している企業
- バックオフィス業務を統合したい企業
- 中小企業
GMOサイン
概要: GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供。認証局運営の実績を活かしたサービス。
特徴:
- 当事者型・立会人型の両方に対応
- 高いセキュリティ
- 身元確認オプション
- 大企業での採用実績
料金:
| プラン | 月額 | 送信件数 |
|---|---|---|
| お試しフリー | 0円 | 毎月5件まで |
| 契約印&実印 | 9,680円 | 無制限 |
向いている企業:
- セキュリティを重視する企業
- 当事者型署名が必要な企業
- 大企業・官公庁
DocuSign
概要: 世界シェアNo.1の電子署名サービス。グローバル展開する企業に強み。
特徴:
- 180か国以上で利用可能
- 多言語対応
- 豊富な連携機能
- 高度なワークフロー
料金:
| プラン | 月額 | 特徴 |
|---|---|---|
| Personal | $15 | 個人向け |
| Standard | $45 | チーム向け |
| Business Pro | $65 | ビジネス向け |
向いている企業:
- 海外との取引が多い企業
- グローバル企業
- 複雑なワークフローが必要な企業
比較表
| 項目 | クラウドサイン | freeeサイン | GMOサイン | DocuSign |
|---|---|---|---|---|
| 月額(有料プラン) | 11,000円〜 | 5,478円〜 | 9,680円〜 | $15〜 |
| 無料プラン | あり | あり | あり | なし |
| 当事者型 | オプション | なし | あり | あり |
| 日本語サポート | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| API連携 | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| 海外利用 | △ | △ | ○ | ◎ |
導入の進め方
Step 1: 現状分析
確認事項:
- 月間の契約件数
- 契約の種類(雇用契約、業務委託、NDAなど)
- 現在のコスト(印紙税、郵送費など)
- 関係する部署・担当者
Step 2: サービス選定
選定のポイント:
- 月間送信件数に合った料金プラン
- 必要な機能の有無
- 取引先が受け入れやすいか
- 既存システムとの連携
- サポート体制
選定チェックリスト:
- 無料トライアルで操作性を確認
- 取引先への送信テスト
- セキュリティ要件の確認
- 運用フローの検討
Step 3: 社内体制の整備
準備すべきこと:
- 利用規程の策定
- 承認フローの設計
- 担当者の決定
- マニュアルの作成
Step 4: 取引先への説明
伝えるべき内容:
- 電子契約の法的有効性
- メリット(印紙税不要、スピーディーなど)
- 操作方法(難しくないこと)
- セキュリティについて
説明文例:
平素より大変お世話になっております。
弊社では業務効率化の一環として、
電子契約サービス「○○」を導入いたしました。
今後の契約締結は、電子契約での対応を
お願いできれば幸いです。
電子契約のメリット:
・印紙税が不要
・郵送の手間・時間が不要
・いつでもどこでも締結可能
・契約書の検索・管理が簡単
ご不明点がございましたら、お気軽に
お問い合わせください。
Step 5: 運用開始
段階的な導入:
- 社内契約(雇用契約など)から開始
- 協力的な取引先との契約
- 全社展開
運用のポイント:
- 定期的な利用状況の確認
- 問い合わせ対応の窓口設置
- 改善点の収集と反映
電子帳簿保存法への対応
2024年1月からの義務化
電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化されました。
対象: メールやクラウドで受け取った契約書、請求書、領収書など
保存要件:
- 真実性の確保(タイムスタンプまたは訂正削除の記録)
- 可視性の確保(検索機能)
電子契約サービスでの対応
多くの電子契約サービスは、電子帳簿保存法の要件を満たしています。
確認ポイント:
- タイムスタンプの付与
- 検索機能(日付、金額、取引先)
- 訂正・削除履歴の保存
- JIIMA認証の取得
よくある質問
Q. 相手が電子契約に対応していない場合は?
A. 紙での契約も引き続き可能です。徐々に電子契約の割合を増やしていく方針で進めましょう。説明資料を用意して理解を促すことも有効です。
Q. すべての契約を電子化できますか?
A. ほとんどの契約は電子化可能ですが、一部法律で書面が義務付けられているもの(定期借地契約、宅建業法上の重要事項説明書など)は紙が必要です。
Q. セキュリティは大丈夫ですか?
A. 主要な電子契約サービスは、暗号化、アクセス制御、監査ログなど高度なセキュリティ対策を実施しています。紙よりも安全という見方もあります。
Q. 裁判で証拠として使えますか?
A. はい、電子署名法に基づく電子署名が付された電子契約は、裁判でも証拠として認められます。
まとめ
電子契約は、コスト削減と業務効率化を同時に実現できる有効な手段です。
導入のポイント:
-
自社に合ったサービスを選ぶ
- 契約件数と料金プラン
- 必要な機能
- 既存システムとの連携
-
段階的に導入する
- まず社内契約から
- 協力的な取引先と
- 徐々に拡大
-
取引先への丁寧な説明
- 法的有効性の説明
- メリットの訴求
- 操作の簡単さをアピール
-
法令対応も忘れずに
- 電子帳簿保存法
- 適切な保存と管理
まずは無料プランで試してみて、自社に合ったサービスを見つけてください。
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※本記事の情報は2025年1月時点のものです。各サービスの機能や料金は変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください。