データ分析

BIツール入門ガイド|Looker Studio・Tableau・Power BIの選び方と活用法

BIツール入門ガイド|Looker Studio・Tableau・Power BIの選び方と活用法

BIツールとは

BI(Business Intelligence)ツールは、企業のさまざまなデータを可視化・分析し、意思決定を支援するツールです。Excelでは限界のあるデータ分析を、より効率的かつ高度に行えます。

BIツールでできること

機能説明
データの可視化グラフ、チャート、マップなどで表現
ダッシュボード作成複数の指標を一画面で確認
レポート自動化定期レポートを自動生成
データ統合複数のデータソースを結合
インタラクティブ分析フィルタやドリルダウンで深掘り
共有・コラボレーションチームでの分析結果共有

ExcelとBIツールの違い

項目ExcelBIツール
データ量100万行程度が限界数億行も処理可能
リアルタイム性手動更新自動更新
データ統合手動でコピー自動で連携
可視化基本的なグラフ高度なビジュアル
共有ファイル送付URL共有、権限管理
更新作業毎回手動自動化可能

主要BIツール比較

総合比較表

ツール費用難易度データ連携向いている用途
Looker Studio無料Google系◎マーケティング分析
Tableau有料中〜高豊富本格的な分析
Power BI有料Microsoft◎社内データ分析
Metabase無料/有料低〜中DB直結エンジニア向け
Redash無料DB直結SQLベース分析

Looker Studio(旧Googleデータポータル)

Googleが提供する無料のBIツールです。

基本情報

項目内容
提供元Google
費用無料
日本語対応
URLlookerstudio.google.com

メリット

✓ 完全無料で利用可能
✓ Googleサービスとの連携が強力
  (GA4、Search Console、スプレッドシート等)
✓ 操作が直感的で学習コストが低い
✓ 共有が簡単(URLで共有)
✓ テンプレートが豊富

デメリット

✗ 高度な分析機能はTableau等に劣る
✗ 大量データの処理速度がやや遅い
✗ カスタマイズに限界がある
✗ Googleアカウントが必須

主な連携先

連携先説明
Google Analytics 4Webアクセス解析
Google Search Console検索パフォーマンス
Google広告広告効果測定
Googleスプレッドシート各種データ
BigQuery大規模データ
MySQL、PostgreSQLデータベース

向いている用途

  • マーケティングダッシュボード
  • GA4のレポート作成
  • 広告効果レポート
  • 簡易的なKPIダッシュボード

Tableau

世界シェアNo.1のBIツールです。

基本情報

項目内容
提供元Salesforce
費用月額約1.2万円/ユーザー〜
日本語対応

料金プラン

プラン月額特徴
Tableau Viewer約1,800円閲覧のみ
Tableau Explorer約5,000円編集可能
Tableau Creator約1.2万円全機能
Tableau Public無料公開データのみ

メリット

✓ 可視化機能が非常に強力
✓ 大量データの処理が高速
✓ 高度な分析が可能
✓ コミュニティ、教材が豊富
✓ ドラッグ&ドロップで操作可能

デメリット

✗ 費用が高い
✗ 学習コストがやや高い
✗ 導入・運用に専任者が必要な場合も

主な連携先

  • ほぼすべてのデータベース
  • Excel、CSV
  • クラウドサービス(Salesforce、Googleなど)
  • API連携

向いている用途

  • 本格的なデータ分析
  • 大規模データの可視化
  • 経営ダッシュボード
  • 全社的なBI基盤

Power BI

Microsoftが提供するBIツールです。

基本情報

項目内容
提供元Microsoft
費用無料版あり / 有料版月額約1,500円〜
日本語対応

料金プラン

プラン月額特徴
Power BI Free無料個人利用、共有制限あり
Power BI Pro約1,500円共有・コラボレーション可
Power BI Premium約3,000円〜大規模向け

メリット

✓ Excelとの親和性が高い
✓ Microsoft 365との統合
✓ 比較的低コスト
✓ Excelユーザーなら学習しやすい
✓ AIによる分析機能

デメリット

✗ Windowsでの利用が前提(Mac版は機能制限)
✗ 一部機能はPremiumが必要
✗ 無料版は共有に制限

主な連携先

  • Excel、CSV
  • Azure、SQL Server
  • Dynamics 365
  • 各種クラウドサービス
  • API連携

向いている用途

  • Microsoft環境での分析
  • 社内データの可視化
  • Excelからのステップアップ
  • 財務・経営分析

BIツールの選び方

選定のポイント

チェックリスト

□ 予算はどのくらいか?
  → 無料ならLooker Studio、有料ならTableau/Power BI

□ 主なデータソースは何か?
  → Google系 → Looker Studio
  → Microsoft系 → Power BI
  → 多様なソース → Tableau

□ 利用者のスキルレベルは?
  → 初心者 → Looker Studio
  → 中級者 → Power BI
  → 上級者 → Tableau

□ 分析の複雑さは?
  → シンプル → Looker Studio
  → 高度な分析 → Tableau/Power BI

□ 何人で使うか?
  → 個人〜少人数 → 無料ツール
  → 全社展開 → 有料ツール

ケース別おすすめ

ケースおすすめツール理由
GA4のレポート作成Looker Studio無料、連携が簡単
広告効果の分析Looker StudioGoogle広告との連携
社内のExcelデータ分析Power BIExcelとの親和性
本格的なデータ分析基盤Tableau機能・拡張性
スタートアップ・小規模Looker Studio無料で十分
大企業・全社展開Tableau / Power BIスケーラビリティ

ダッシュボード作成のポイント

良いダッシュボードの条件

条件説明
目的が明確何を判断するためのものか
一目で分かる重要な情報が瞬時に把握できる
アクションにつながる次に何をすべきかわかる
更新が自動手動更新の手間がない
シンプル情報過多にならない

ダッシュボード設計の手順

1. 目的の明確化
   └ 誰が、何のために使うか

2. KPIの選定
   └ 目的に必要な指標を選ぶ(多くて5〜7個)

3. データソースの確認
   └ 必要なデータはどこにあるか

4. レイアウト設計
   └ 情報の優先順位を決める

5. ビジュアル選択
   └ データに適したグラフを選ぶ

6. 実装・テスト
   └ 実際に作成し、使い勝手を確認

7. 運用・改善
   └ フィードバックを受けて改善

グラフの選び方

データの種類適したグラフ
時系列の推移折れ線グラフ
項目の比較棒グラフ
構成比円グラフ、ドーナツ
相関関係散布図
目標達成度ゲージ、KPIカード
地域分布地図(マップ)
複数指標の比較テーブル

レイアウトの基本

┌────────────────────────────────────┐
│ タイトル・期間フィルタ             │
├────────────────────────────────────┤
│ ┌─────┐ ┌─────┐ ┌─────┐ ┌─────┐  │
│ │ KPI │ │ KPI │ │ KPI │ │ KPI │  │
│ │カード│ │カード│ │カード│ │カード│  │
│ └─────┘ └─────┘ └─────┘ └─────┘  │
├────────────────────────────────────┤
│ ┌───────────────┐ ┌─────────────┐ │
│ │   メイングラフ  │ │ サブグラフ  │ │
│ │   (推移など)  │ │ (比較など) │ │
│ └───────────────┘ └─────────────┘ │
├────────────────────────────────────┤
│ ┌───────────────────────────────┐ │
│ │        詳細テーブル            │ │
│ └───────────────────────────────┘ │
└────────────────────────────────────┘

Looker Studioでのダッシュボード作成例

GA4レポートの作成手順

1. Looker Studioにアクセス
   https://lookerstudio.google.com/

2. 「空のレポート」を選択

3. データソースを追加
   └ 「Googleアナリティクス」を選択
   └ GA4プロパティを選択

4. グラフを追加
   └ 上部メニュー「グラフを追加」

5. ディメンション・指標を設定
   └ 右パネルで設定

6. フィルタを追加
   └ 期間フィルタ、ページフィルタ等

7. デザインを調整
   └ 色、フォント、配置

8. 共有
   └ 「共有」ボタンからURL共有

マーケティングダッシュボードの例

含める指標

指標ビジュアル
セッション数(推移)折れ線グラフ
ユーザー数KPIカード
コンバージョン数KPIカード
CVRKPIカード
チャネル別セッション棒グラフ
流入元TOP10テーブル
ランディングページ別テーブル
デバイス別円グラフ

BIツール導入の進め方

ステップ1:目的の明確化

確認項目
解決したい課題Excelでの集計に時間がかかる
期待する効果レポート作成時間を80%削減
主な利用者マーケティング部門
必要な分析広告効果、サイト分析

ステップ2:ツール選定

評価ポイント

□ 必要な機能があるか
□ データソースに接続できるか
□ 予算内か
□ 利用者が使いこなせるか
□ サポート・教材は充実しているか
□ 将来的な拡張性はあるか

ステップ3:スモールスタート

最初から大規模に導入せず、小さく始めます。

フェーズ内容期間目安
試用無料版・トライアルで検証1〜2週間
パイロット1部署で試験導入1〜2ヶ月
評価効果測定、課題抽出2週間
展開他部署への拡大順次

ステップ4:運用・定着

施策内容
教育・研修利用者向けトレーニング
マニュアル整備操作手順の文書化
サポート体制問い合わせ窓口の設置
定期レビュー活用状況の確認、改善

導入事例

事例1:EC企業(Looker Studio)

課題

  • 広告効果のレポート作成に週5時間かかっていた
  • Excelでの集計でミスが発生

導入内容

  • Looker StudioでGoogle広告、GA4を連携
  • 広告効果ダッシュボードを作成

効果

  • レポート作成時間:週5時間→30分(90%削減)
  • リアルタイムで効果を確認可能に
  • 意思決定のスピードが向上

事例2:製造業(Power BI)

課題

  • 各部署がExcelで別々に管理
  • 経営会議の資料作成に丸1日

導入内容

  • Power BIで基幹システムと連携
  • 経営ダッシュボードを構築

効果

  • 資料作成時間:1日→1時間
  • 部署間でデータを共有
  • 数値に基づいた意思決定が定着

事例3:マーケティング会社(Tableau)

課題

  • クライアントごとにレポートフォーマットが異なる
  • 複雑な分析に対応できない

導入内容

  • Tableauで統一フォーマットを作成
  • 高度な分析機能を活用

効果

  • レポート作成工数50%削減
  • 分析の深さ・品質が向上
  • クライアント満足度アップ

まとめ:BIツール活用のポイント

  1. 目的を明確に:何のためにBIツールを使うか
  2. 適切なツールを選ぶ:予算、スキル、データソースで判断
  3. スモールスタート:小さく始めて効果を検証
  4. シンプルなダッシュボードから:情報を詰め込みすぎない
  5. 運用・定着を重視:作って終わりにしない

BIツールは、データに基づいた意思決定を支援する強力なツールです。まずは無料のLooker Studioから始めて、データ活用の第一歩を踏み出しましょう。