「パスワードを使い回している」「覚えられないから簡単なパスワードにしている」「付箋にパスワードを書いている」
これらは非常に危険な行為です。パスワードの漏洩は、個人情報流出や金銭被害、企業の信用失墜につながります。
本記事では、安全なパスワード管理の方法を詳しく解説します。
パスワードの重要性
パスワード漏洩のリスク
個人への影響:
- 不正アクセスによるアカウント乗っ取り
- クレジットカードの不正利用
- SNSアカウントの悪用
- 個人情報の流出
企業への影響:
- 顧客情報の漏洩
- 業務システムへの不正アクセス
- 金銭的被害
- 信用の失墜
- 法的責任
よくある危険な行為
絶対にやってはいけないこと:
- 同じパスワードの使い回し
- 推測されやすいパスワード(123456、password、誕生日など)
- パスワードのメモを見える場所に貼る
- パスワードをメールやチャットで送る
- 共有アカウントの使用
パスワード漏洩の原因
| 原因 | 割合 | 対策 |
|---|---|---|
| フィッシング詐欺 | 約30% | 不審なリンクをクリックしない |
| パスワードリスト攻撃 | 約25% | 使い回しをしない |
| 総当たり攻撃 | 約20% | 長く複雑なパスワード |
| 内部不正 | 約15% | アクセス権限の管理 |
| マルウェア | 約10% | セキュリティソフトの導入 |
安全なパスワードの作り方
基本ルール
強いパスワードの条件:
- 12文字以上(できれば16文字以上)
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
- 辞書に載っている単語を避ける
- 個人情報(名前、誕生日など)を含めない
- サービスごとに異なるパスワードを使用
作り方の例
方法1: パスフレーズ 覚えやすい文章を基にパスワードを作成。
例:「私は毎朝7時にコーヒーを飲む」
→ Watashi7jiCoffee!nomu
方法2: ランダム生成 パスワード管理ツールで自動生成。
例:xK9#mL2$pQ5@nR8
方法3: 3つの単語+記号 無関係な単語を組み合わせる。
例:Mountain$Piano$Ocean99
NGなパスワード例
絶対に使ってはいけない:
- 123456, password, qwerty
- 名前 + 誕生日(tanaka0401)
- 会社名 + 年度(company2025)
- キーボードの並び(asdfghjk)
- 単純な置き換え(p@ssw0rd)
パスワード管理ツール
なぜ管理ツールが必要か
課題:
- サービスごとに異なるパスワードを覚えられない
- 強いパスワードは覚えにくい
- メモ帳やExcelでの管理は危険
解決策: パスワード管理ツールを使えば、1つのマスターパスワードで全てのパスワードを安全に管理できます。
主要ツールの比較
| ツール | 月額料金 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1Password | 約$3〜 | 使いやすさNo.1、チーム機能充実 |
| Bitwarden | 無料〜$1 | オープンソース、コスパ最強 |
| LastPass | 無料〜$3 | 知名度高い、無料版は制限あり |
| Dashlane | 約$5〜 | VPN付き、高機能 |
| Keeper | 約$3〜 | セキュリティ重視、法人向け強い |
ツール選びのポイント
確認すべき項目:
- 対応デバイス(PC、スマホ、ブラウザ)
- 自動入力機能の使いやすさ
- チーム・家族での共有機能
- 二要素認証への対応
- バックアップ・復元機能
- 緊急アクセス機能
- 料金体系
1Passwordの使い方
初期設定:
- 公式サイトからアカウント作成
- マスターパスワードを設定
- シークレットキーを安全に保管
- ブラウザ拡張機能をインストール
日常の使い方:
- 新しいサイトでアカウント作成時、自動でパスワード生成
- ログイン時は自動入力
- パスワードは1Passwordに自動保存
Bitwardenの使い方
無料で始める場合:
- 公式サイトでアカウント作成
- マスターパスワードを設定
- ブラウザ拡張機能・スマホアプリをインストール
- 既存パスワードをインポート
おすすめ機能:
- パスワード生成器
- セキュリティレポート
- 組織でのパスワード共有(有料)
二要素認証(2FA)
二要素認証とは
パスワードに加えて、もう1つの認証要素を追加するセキュリティ対策です。
認証の3要素:
- 知識:パスワード、PIN
- 所持:スマートフォン、セキュリティキー
- 生体:指紋、顔認証
二要素認証の例:
- パスワード + SMS認証コード
- パスワード + 認証アプリのコード
- パスワード + セキュリティキー
二要素認証の種類
| 方法 | セキュリティ | 利便性 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| SMS認証 | 低〜中 | 高 | △ |
| 認証アプリ | 高 | 中 | ◎ |
| セキュリティキー | 最高 | 低〜中 | ○ |
| 生体認証 | 高 | 高 | ○ |
認証アプリの設定
おすすめアプリ:
- Google Authenticator
- Microsoft Authenticator
- Authy(バックアップ機能あり)
設定手順(Google Authenticatorの例):
- 対象サービスの設定画面で二要素認証を有効化
- QRコードを表示
- Google AuthenticatorでQRコードをスキャン
- 表示されたコードを入力して確認
- バックアップコードを安全に保管
優先的に設定すべきサービス
最優先:
- メールアカウント(Gmail、Outlook等)
- パスワード管理ツール
- 金融サービス(銀行、証券)
- クラウドストレージ
優先:
- SNS(Twitter、Facebook、Instagram)
- ECサイト(Amazon等)
- 業務ツール(Slack、Microsoft 365)
企業でのパスワード管理
パスワードポリシーの策定
含めるべき項目:
- パスワードの最低文字数
- 複雑性の要件
- 更新頻度(現在は必須ではない)
- 使い回しの禁止
- 管理ツールの指定
- 二要素認証の必須化
チームでの共有方法
安全な共有方法:
- パスワード管理ツールの共有機能を使用
- 権限を最小限に設定
- 共有パスワードは定期的に更新
やってはいけない共有方法:
- メールでパスワードを送る
- チャットツールでパスワードを送る
- 共有スプレッドシートに記録
- 口頭で伝えてメモさせる
シングルサインオン(SSO)
複数のサービスに1つの認証でログインできる仕組み。
メリット:
- パスワード管理の負担軽減
- セキュリティの一元管理
- 従業員の利便性向上
主なSSOサービス:
- Google Workspace
- Microsoft Azure AD
- Okta
- OneLogin
パスワード漏洩への対応
漏洩の確認方法
チェックツール:
- Have I Been Pwned(https://haveibeenpwned.com/)
- Firefox Monitor
- 1Password Watchtower
確認手順:
- メールアドレスを入力
- 過去の漏洩に含まれているか確認
- 該当する場合はパスワードを変更
漏洩が発覚した場合
個人の場合:
- 該当サービスのパスワードを即座に変更
- 同じパスワードを使っている他のサービスも変更
- 二要素認証を有効化
- 不審なアクティビティがないか確認
- 必要に応じてカード会社等に連絡
企業の場合:
- 漏洩範囲の特定
- 該当アカウントのパスワードリセット
- 全社員への通知と注意喚起
- 原因究明と再発防止策
- 必要に応じて関係者への報告
よくある質問
Q. パスワードは定期的に変更すべきですか?
A. 現在の推奨は「漏洩が疑われる場合のみ変更」です。定期的な強制変更は、かえって弱いパスワードや使い回しを招くとされています。ただし、企業のポリシーに従ってください。
Q. ブラウザのパスワード保存機能は使っていいですか?
A. 個人利用では許容範囲ですが、セキュリティ面では専用のパスワード管理ツールの方が安全です。共有PCでは絶対に使わないでください。
Q. マスターパスワードを忘れたらどうなりますか?
A. 多くのパスワード管理ツールでは、マスターパスワードを忘れると復旧できません。シークレットキーやリカバリーキーを安全な場所に保管しておくことが重要です。
Q. 無料のパスワード管理ツールで大丈夫ですか?
A. Bitwardenの無料版は十分な機能があり、セキュリティ面でも問題ありません。有料版は共有機能や高度なレポートが必要な場合に検討しましょう。
まとめ
パスワード管理は、セキュリティの基本中の基本です。
実践すべきこと:
-
強いパスワードを使う
- 12文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ
- サービスごとに異なるパスワード
-
パスワード管理ツールを導入
- 1Password、Bitwardenなど
- マスターパスワードは特に強固に
- リカバリー手段を確保
-
二要素認証を有効化
- 重要なサービスは必須
- 認証アプリを推奨
- バックアップコードを保管
-
定期的な確認
- 漏洩チェックツールで確認
- 不要なアカウントは削除
- 怪しいアクティビティに注意
今日からできることから始めて、安全なパスワード管理を実践しましょう。
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